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スコーグスシュルコゴーデン(共同墓地の世界遺産)

スコーグスシュルコゴーデンは、「森の墓地」を意味するスウェーデンのストックホルム郊外に広がる共同墓地で、世界遺産に登録されています。

現在も利用されている墓地ですが、ビジターズセンター等の施設を備えており、観光・見学する事が出来ます。

ストックホルムのスコーグスシュルコゴーデン

北欧の森に抱かれた国スウェーデン。どこか神秘的で謎めいていたり、要するに日本人には少々馴染みが薄かったりする訳ですが、オシャレでかわいい雑貨やインテリアの発信地、H&MやIKEAそれからVOLVOの発祥の地というと、少し身近に感じられるかもしれません。

ストックホルム

首都は、ご存知ノーベル賞の授賞式が行われるストックホルムです。

この都市は14個の小島が集まった地形をしていて、街中には幾つもの運河が流れています。その様は北欧の水の都と称されます。街の景観の美しさは世界でも有数とされており、地元の人たちは「自分の街」をとても誇りに思っています。

そして。

アンさん
ANSUN

ストックホルムの南部には、1994年にユネスコの世界文化遺産に登録された、スコーグスシュルコゴーデン(スクーグスチルコゴーデン/Skogskyrkogarden )があります。

私たち日本人からすると舌を噛みそうなこの名称は、「森の墓地」を意味しています。そう。スコーグスシュルコゴーデンは、10万基ほどのお墓がある大規模な共同墓地なんです。

「世界遺産登録の共同墓地」というと、かなり古い時代の古墳や遺跡かと思う人もいるかもしれませんが(通常、そのように考えてしまいますよね?)、こちらは20世紀、1940年に完成した、今でも実際に、年間2000件あまりのお葬式や埋葬が執り行われている施設で、世界遺産の中では最も新しい建築物の1つです。

古代より脈々と受け継がれてきた北欧人の精神を体現しています

スコーグスシュルコゴーデンを設計したのは、コンペによって選ばれたグンナル・アスプルンドとシーグルド・レーヴェレンツの2人の建築家です。この2人は、今でこそスウェーデンを代表する建築家として、建築の世界では広く名前が知られているそうですが、この墓地の設計を始めた時点では、全くの無名の存在でした。

スコーグスシュルコゴーデンの最大の特徴は、建築と自然を融合させたお墓であるころです。

「自然豊かな墓地」あるいは、「森の中に墓地がある」といったイメージでしょうか。

もともと人間(北欧・スウエーデン人)は、自然の中(森の中)で暮らしていた。その人間の魂は自然の中に還っていくべきだ・・・と考える現地の人たちの「古代より脈々と受け継がれてきた精神」を、この森の中につくられた墓地は体現していると言えるでしょう。

日本の墓地に重ねて考えてみると、キレイに計画整備された近代的で緑の多い霊園の感覚に少し(だけ)近いかもしれません。また、日本でも見かけるようになった「樹木葬の墓所」の先達のようにも感じます。

墓地エリアの木々は余裕のある間隔で植えられており、十数メートルはある背の高くてシュッとした針葉樹林がメインです。鬱蒼と茂った薄暗い森ではなく、空が見えて陽射しが入る明るい雰囲気があります。芝生が植えられた広々とした平地が広がっており開放感があります。

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緑が美しい共同墓地の見学

スコーグスシュルコゴーデンは、ストックホルムの中心から地下鉄で15分くらい行ったところにあります。

駅から出たとたん、「人間が暮らす喧騒の世界」とは無縁の緑美しい落ち着いた景色、荘厳な世界が広がっているなんて、ちょっと素敵だと思いませんか?

世界遺産とは言え、現在も運用されている墓地を見学するとは、なんとも不思議な気がしないでもないのですが、観光資源としての位置付けもあり、私たちのような旅行者・観光者であっても、見学できるようになっています。

敷地の一番奥には、夏季だけ開いているビジターズ・センター(訪問者センター)があります。カフェそれにお土産屋さんなんかも併設されています。

入り口をくぐってしばらく歩いて行くと、最初に目に入ってくるのがグリーンの芝面にそびえる巨大な十字架です。この花崗岩の十字架の周りには、どことなく厳粛な空気が漂ってはいるものの、素敵な自然の中、ピクニックでもしたくなるような場所だったりもします。だからといって、羽目を外してはいけません(笑)葬儀場では葬儀が行われていることもあるので、観光気分で騒ぐのは控えて静かに見学するのがマナーですよね。

あさつき
asatsuki

あまりハイテンションで見学する、といった雰囲気ではなさそうですね。

アンさん
ANSUN

自然を感じ、愛する人に思いを馳せながら、もう会えない人を追憶しながら、静かに散策するのも良いかと。

ここからもう少し進むと、火葬場と信仰の礼拝堂、希望の礼拝堂、正十字架の礼拝堂が見えてきます。

この場所からもう少し行くと、楡の高台(瞑想の丘)から森を通り抜け復活の礼拝堂へと至る、七井土の小道があります。その長さは888メートルです。

礼拝堂に行くまでになぜこんなに長い小道があるのかというと、親しい人を失って動揺している気持ちを礼拝堂に入るまでに少し鎮められるように、という気遣いのためだということです。

ここを通る人たちはみんな長い小道をゆっくりと進みながら、親しい人に最後のお別れするための心の準備をするのでしょう。

共同墓地にあるもう一つの礼拝堂は、森の礼拝堂です。三角形の大きな屋根の小さな礼拝堂は、森の中にとても自然に建っていて、まさにスコーグスシュルコゴーデンのコンセプト(「森とお墓の融合」)を、体現しています。

森の中に、地面からニョキニョキと生えてきたかのように、ずらりと並ぶ極めて背の低いお墓。墓石はいたって素朴でシンプルです。お墓1基につき5名まで埋葬可能だそうです。お墓を見ると、やはり自然と厳粛な気持ちになりますね。そして、この広大な森の中で眠る人たちの魂は、きっと清々しく満たされるのではないかと感じます。

あさつき
asatsuki

著名な方のお墓もあるのでしょうか?

アンさん
ANSUN

伝説のハリウッド女優、グレタ・ガルボ。1990年にニューヨークで逝去後に母国スウェーデンに還り、今この地に眠っています。

私(ANSUN)は現在ヨーロッパに住んで居ますが、周りの人に「日本では火葬した後に遺族が骨を拾い、それを墓に埋葬するのですよ」と説明するとすごく驚かれます。欧米では土葬が主流だから火葬は珍しいのでしょう。

ですので、スクーグスチルコゴーデンが火葬を想定して設計されたと知り、ちょっと新鮮に感じました。 ちなみに敷地内の丘の中腹には、散骨場(追憶の丘)があります。樹木葬なども行われているのかもしれません。

行き方や見学方法について

現在も利用されている共同墓地ですので、年中開いており旅行者にも公開されているのですが、気候、ビジターズセンターの営業期間、有料ツアー利用等の面を考慮すると、夏季(5~9月頃)に観光見学するのがベターでしょう。

項目 概要
行き方

ストックホルムの中央駅より地下鉄グリーン線でスコーグスシュルコゴーデン駅まで(15分程度)。駅から徒歩5分あまり。

開園期間

基本的には年中観光出来そうですが、ビジターズ・センターは夏季の土日のみ営業のようです(要確認)。

開園時間

11~16時。

所要時間

2時間くらいは確保しましょう。ゆっくりと散策しながら過ごすと良いでしょう。

料金

墓地への入園は無料。(主に夏季開催の)ガイドツアー、一般ツアーは有料(100kr)。

ストックホルムパスを利用すると、特典を受けられる可能性があります(要確認)。

備考

見学情報等については、公式サイトビジターズガイド(日本語版PDF有り))などが参考になります。

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By Ansun (Updated by Asatsuki)

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