
アントワープ(フランダースの犬とノートルダム大聖堂)
ベルギーのアントワープは、「フランダースの犬」の舞台にもなったオシャレで可愛らしい街。
豪華な駅からゴシック様式が美しいノートルダム大聖堂まで、のんびりと気持ちの良い散策を楽しみました。
大聖堂で鑑賞したルーベンスの祭壇画にも大感激しました。
ブリュッセルからアントワープへ日帰り旅行をしました
私は、午前中に滞在先のブリュッセルから電車でアントワープへ向かいました。
夕方には、次の目的地へ行くための飛行機に乗らないといけなかったので、あまり時間的な余裕はありませんでした。

でも、「ノートルダム大聖堂」は、どうしても見ておきたかったんです。
なぜなら、アントワープは、子供の頃から親しんできた「フランダースの犬」の舞台であり、特にノートルダム大聖堂は、物語のクライマックスにも登場する重要な場所で、今でもネロが憧れたルーベンスの絵画が置かれているからです。
個人的には、大いに関心があったのでした。
ブリュッセルの中央駅からアントワープまでは片道40分くらいで行けます。駆け足で観光すると、なんとか飛行機の時間までにブリュッセルに帰ってこれそうなので、一安心しました。
とんぼ返りの日帰り旅ですが、大いに楽しみたいと思いつつ電車に乗車しました。
駅が凄かったです!
さて。アントワープの駅(Station Antwerpen-Centraal)は、ベルギーの各地と繋がっているのはもちろんの事、アムステルダムとパリを結ぶ鉄道の中継地でもある、国際的なステーションなのですが、駅にに到着すると、その豪華な駅舎に驚かされることになりました。
外装も内装も、宮殿を改築したんじゃないかと思うくらいの造りだったのです。

内装は、白い壁に施された金色の装飾と半円上の天窓の可憐な空間で、天窓の前にくるように掲げられた時計がとても印象的でした。
外装は丸いドーム状の屋根が印象的な重厚感のある作りになっていて、こんなにきれいな駅があっていいのかと思うくらい素敵でした。
ちなみに動物園に隣接しています。
寄り道しながら大聖堂へ
絢爛豪華な駅を出た私は、すぐさま目的地の大聖堂に向かって歩きはじめました。
駅からノートルダム大聖堂までは、殆ど道なりにまっすぐで距離的にもそれほど遠くもなく、20分もあれば十分到着するはずでした。
しかしながら、道の両側には、気軽に入れそうな洋服屋さんや靴屋さん、そして雑貨やアクセサリーのお店などがびっしりと並んでいて、気になって仕方がありませんでした。
その上、私が行った1月下旬は、ウインターセールの真っ只中ということで、「あ、あれ良いな、これも欲しいな」と、寄り道に寄り道を重ねているうちに、大聖堂の建物が見えてくる頃には、歩き始めて既に1時間以上が経っていたのでした。


ショッピングも旅の大きな楽しみですよね。

携帯していたボストンバックに空きスペースが殆ど無いとしても、セールとみると覗かずにはいられないのが女心だったりします。
私が感じた街の印象
ベルギーで2番目に大きな規模を誇る都市とは言うものの、第1の都市ブリュッセルよりは大分こじんまりとしていて、見どころも町の中心部に集まっているので、「ライト感覚の観光ならば」丸1日もあれば、結構堪能できてしまいます。

私の印象としては、街の雰囲気がおしゃれでかわいらしいくて、とても居心地が良く感じました。
ノートルダム大聖堂(Cathedral of Our Lady Antwerp)
駅から歩き始めて、寄り道・みちくさをしていたので予定よりも時間がかかったものの、アントワープ滞在の第一の目的である、ノートルダム大聖堂に到着しました。

この大聖堂(聖母大聖堂)は1352年から170年もの歳月をかけて建てられた、ベルギーで最大のゴシック様式の大聖堂です。
少し離れたところからたっぷりその全貌を堪能してから、大聖堂の周りをぐるりと一周しました。建物の正面には、17世紀に活躍したバロック系の画家、ルーベンスの像がありました。
聖堂内では、ルーベンスの祭壇画を鑑賞しました。
フランダースの犬にも登場する重要な場所なんです

日本語で書かれたフランダースの犬の碑(モニュメント)もありましたよ。

日本での人気が高くファンが大変多い事を受けて、2003年に建立されたようですね。
「フランダースの犬」は、イギリス人作家のウィーダにより1872年に発表されました。少年少女を読者対象とした、いわゆる児童文学のカテゴリーに分類される物語です。20世紀初頭にはすでに翻訳されており、日本において100年以上に渡って読まれ続けてきました。
またかつて、日曜日の午後7時台に「世界名作劇場」というアニメ番組が放映されていたのですが、1975年に1年間にわたってフランダースの犬の「アニメ版」が放映さて好評を博しました。ジブリの宮崎駿監督も製作スタッフとして若干関わっていたそうです。
このアニメ番組・作品が、日本における「フランダースの犬」のイメージを確定させ、そして人気を決定付けたと言っても過言ではないように感じます。
アニメに出てきた「ネロやパトラッシュの姿」を思い浮かべる人は、たいへん多いのではないでしょうか。
ちなみに物語では、アントワープ近隣のホーボケンという村が、ネロやパトラッシュの住んでいたところという設定です。

ホーボケンには現在、それにちなんだ銅像も建っています。でも日本のアニメ風ではないので、私たちが見ると違和感があるかもしれません。現地の方たちが作ったので当たり前なのですが。
建物の外観についてご紹介すると、白っぽい壁にグレーの屋根はとてもおしゃれで、空に向かってまっすぐに伸びる1本の塔がとても優美でしたよ。 鐘楼は、当初何本か建てられる予定だったのが、資金不足で1本になったとのことです。 建物を正面から見ると片側の塔が途中で切れているようにも見えるのですが、細かい装飾がされた塔は1本しかないことでその美しさが強調されているようにも感じました。 この塔の鐘楼部分は2005年に世界遺産にも登録されています。(ベルギーとフランスの鐘楼群)優美な鐘楼は世界遺産です
ネロが見たかったルーベンスの祭壇画
ノートルダム大聖堂の凄いところは、外見の優美さだけではありません。聖堂の中では巨匠ルーベンス(Peter Paul Rubens)の大作を幾つか見る事ができるんです。
『フランダースの犬』のクライマックスで、ネロとパトラッシュが天に召されたのは、この大聖堂の中のルーベンスの三連祭壇画の前なんですよ。

この絵を見られるのが楽しみで、ワクワクしながら大聖堂の中に足を踏み入れました。
聖堂内で最初に見えてくるのは、中央の祭壇に飾られている『聖母被昇天』です。
人々に見守られながら天使とともに天に昇っていく聖母マリアの優しげでどこか晴れ晴れとしたようにも見える表情がとても印象的でした。
神様にお願いするほどネロが見たかった祭壇画、『キリストの昇架』と『キリストの降架』も鑑賞できます。
キリスト昇架、キリスト降架
これら二つの作品はその名の通り、キリストが十字架にかけられるシーンと、十字架から降ろされるシーンを描いたもので、縦4m以上もある大作です。
どちらの絵にも共通してるのが、躍動感あふれる筋肉の描写です。絵の中の人物が今にも動き出しそうなほど力強さに満ち溢れている様は素晴らしく、満身創痍で力尽きる寸前だったネロに、何かしら最後の夢と安らぎを与えたのではないかと願望せずにはいられませんでした。
心の底から憧れていたルーベンスの絵に見守られながら、ネロそしてパトラッシュは、天に旅立っていったのですね。

小説が出版された当時、ルーベンスの絵には幕が掛かっていて、観覧は有料だったんですよね。

ネロにとっては高価過ぎて、目にするのは「夢のまた夢」でした。作中で作者は、ネロの言葉を借りて、暗にこの事を批判していると言われています。
入場・見学について
外観と同じようにおしゃれですっきりとしたノートルダム大聖堂の内部には、ルーベンスの祭壇画の他にも、ファンタジックなステンドグラスや天井画、そしてパイプオルガンといった素敵な見どころがありました。
私が行ったのがシーズンオフであまり混雑していなかったのもあり、静粛な雰囲気の中、ゆったりと見学できて、「浮世の心」が洗われたような気がしました。

項目 | 概要 |
---|---|
入場時間 |
月ー金10:00~17:00/土10:00~15:00/日・祝日13:00~16:00 日や曜日によって異なります。事前にネット等で確認しておいたほうが良いでしょう。 休館日もあります(例:1/1)。 |
入場料金 |
6ユーロとやや高めです。 |
アントワープについて
アントワープ(Antwerp )は、人口約50万人のベルギー第2の都市。
ベルギーはフランス語を話す地域とオランダ語を話す地域に分かれているのですが、アントワープではオランダ語が話されています。といっても、あらゆる場所で英語が通じるので、あまり心配は要りません。
公用語が2種類あり、さらに英語も使われているという、日本人にとっては慣れない言語環境なのですが、私が持っていたガイドブックでは、この都市は、Antwerp(アントワープ)と紹介されていました。日本でもポピュラーな英語読みによる呼び名です。
また、ネット上のマップや海外発のコンテンツでは、アントウェルペン(Antwerpen )と表記されることが多いのですが、これはオランダ語による現地の呼び名です。
なお、フランス語読みならアンベルス(Anvers)になります。
世界に誇るべきもの
産業において貿易が盛んで、アントワープは世界で2番目に大きな港を持っています。また、ダイヤモンドの取引の世界的な中心地でもあります。

ダイヤモンドを研磨する技術は世界最高レベルなんです。
当地の国立芸術学院が次々と有名なデザイナーを輩出したことから、ファッションのメッカとしてしても有名でなんですよ。
そしてさらには、バロック様式絵画の大家であるルーベンスの故郷と言える土地であり、街には彼の作品がいくつも残っています。
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By Ansun (Updated by Asatsuki)