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ソフィア王妃芸術センター

ソフィア王妃芸術センターはマドリッド所在の美術館。ピカソ、ダリなどを多数所蔵するスペイン近現代美術の宝庫です。

日頃は近現代アートはちょっと難解かなと敬遠気味の私も、作品たちのオーラにどんどん引き込まれ、とりわけゲルニカには圧倒されました。

ソフィア王妃芸術センターとは

スペインの首都マドリッドにある近現代美術館、ソフィア王妃芸術センター

前国王フアン・カルロス1世の王妃(現国王のご母堂)の名を冠したこの施設は、1992年に開館され、2005年には新館がオープンしました。まだ比較的新しいのですが、近現代美術館としては世界でも最大級で展示されている作品は2万点を超えます。

スペインの新幹線AVEが発着するマドリッドのターミナル駅の1つアトーチャ駅から歩いてすぐという好立地なのも、旅行・観光者としてはうれしいポイントです。

特に、20世紀を代表するスペインの画家、パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリ、ジョアン・ミロなどの作品が、豊富にたくさん展示されていることで有名です。

世界的にこれらの画家の認知度・人気は高く、日本国内で開催された展覧会に足を運んだ経験がある方も多いと思いますが、作家の祖国で鑑賞するのはまた格別です。

ソフィア王妃芸術センターは、スペイン国内で屈指の人気を誇る美術館だと思います。
近年はダリの人気が高まっていることもあり、さらに入館者数をめきめき伸ばしているようです。

あさつき

学生の頃、ダリのシュールな絵をまねてエッチングを作ったことがあります。

アンさん

そうなんですか。ちなみにどんな感じのデザイン?

あさつき

陽光が降り注ぐ砂浜から、長髪の女性の顔が無数にニョキニョキと生えている図柄でした。

アンさん

あぁ。確かにシュールですね(笑)

ピカソの作品を集めたピカソ美術館は、バルセロナや生まれ故郷であるマラガにもありますが、誰もが知っているピカソの代表作を多く見ることができるのは、このソフィア王妃芸術センターなんです。

彼の最高傑作のひとつであり美術の教科書にも載っている、あの、あまりにも有名な『ゲルニカ』もここに展示されていて、この美術館の目玉になっています。

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モダンな外観と観光客の熱気!

ある真夏の7月、マドリッドのプエルタ・デル・ソル周辺のホテルに滞在していた私は、ソフィア王妃芸術センターに行くためにソル駅から地下鉄1号線にのってアトーチャ駅を目指しました。

地下鉄のアトーチャ駅から美術館は目と鼻の先で、観光客らしき人の流れに乗って歩くとすぐたどり着くことができました。スペインの夏の強い日差しが建物の外側に取り付けられた透明のエレベーターに反射して眩しかったのを覚えています。

ソフィア王妃芸術センターは、元々の本館と近年新たに建った新館の2棟の建物から成ります。

本館(サバティーニ館)は、18世紀にイタリア人建築家サバティーニが設計した病院を改装したもので「ロの字型/中庭有り」。それなりに古い建物なのですが、2台の透明なエレベーターが設置されているせいでしょうか、とってもモダンでスタイリッシュに見えます。

観光シーズンだったこともあり、エレベーターの前で記念撮影している人がたくさんいたのですが、私もその中に混じってばっちり記念撮影をしてきました。

他の観光客の人たちの「存分にを楽しむぞ~」という熱気を受けて、こっちもさらにテンションが上がったのでした。

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アンさん

つくづくヨーロッパは、古い建築物の再利用が上手だなあと感じます。

現代建築を代表するフランスの建築家ジャン・ヌーベルが設計した新館(ヌーベル館)は、アトーチャ通りに面して建っています。上から見ると変則的な台形型。赤い屋根とガラス張りの外観がとってもおしゃれで、この建物自体が現代アートといった感じでした。

スムーズに入館できました

私が美術館を訪れたのは午前中でした。

10分くらい並んだだけで案外すんなりスムーズに館内に入れました。入り口では、X線の荷物チェックが行われていました。「ご時世」ですかね。

アンさん

ここで、入場料についてオトクな情報を。

こちらは、平日(火曜日は休館日)の19時以降と日曜日の14:15以降は無料で入場できます。いいですよね。でも当然ながら、この時間帯はものすごく混み合います。

私がこの「オトクな時間帯」に行かなかった理由は、相当混みそうな感じがしたのもありますが、平日だったので19時からだと閉館までに2時間しかなくて、館内をじっくり余裕を持って見て回る時間がなさそうだったからでした。

建物内はかつての面影が感じられました

ソフィア王妃芸術センターの中は、大きく取られた空間もあるものの、大部分は沢山の部屋に分かれていて、部屋巡りをしていくような形で見学するようになっています。天井・壁はホワイト、床はオフホワイト&グレー系。かつての病院だった頃の面影が、そこはかとなく感じられました。

館内地図を見るとかなりの広さだったので、気力・体力が十分残っているうちに、まずはピカソ、ダリ、ミロの代表作が集まっている、サバティーニ館の2階に行くことにしました。フルコースディナーをメインディッシュから食べるようなイメージでしょうか。

キュビズムとか、シュールレアリスムとか

ところで私、入場するとちょっと緊張してきました。

というのも、それまで私にとって近現代美術は、「興味はあるけどよくわからないもの」という位置付けだったんです。

アンさん

ピカソとかダリの絵を思い浮かべてもらうとわかってもらえるかな、と思うのですが・・・近現代アートって構図が突飛で難解だったりしませんか?

あさつき

面白くて好きですよ。新たなインスピレーションが湧いたり心がザワザワします。20世紀のキュビズム・抽象画、シュールレアリスムの誕生は、写真や映像が「発明」されて以降の、芸術家の新たなチャレンジだったようにも感じます。

アンさん

そうなのですね。私は正直ちょっと苦手なんですよね。これまで敬遠気味でした。

私ってそんな風に感じるタイプなんです。ですので、そんな絵ばっかりが集まった美術館を果たして本当に楽しめるかどうか、当初はあまり自信がありませんでした。

でもそれは杞憂に終わりました。館内にある絵を見ていくうちに、霧が晴れていくようにそんな不安は消えていきました。

一見難解(に感じる)絵たちには、美術の教科書の写真では伝わらないオーラというか風格のようなものをまとっていて、見ているうちにどんどん引き込まれていったのでした。


ダリ/複製画

ミロ/画集
あさつき

私は子供の頃からダリに惹かれていたのですが、いかがでしたか?

アンさん

実物の絵をちゃんと見たのはこの美術館が初めてだったのですが、「奇抜さ、独特さ」にすっかり夢中になってしまいました。

ダリは、自分のことを天才といってはばからなかったらしいですが、彼の絵を見ると納得させられずにはいられませんでしたよ。奇人、変人、奇才、天才。すべての形容が当てはまるような気がしました。

これがゲルニカ!

アンさん

今回の一番のお目当てはピカソの大作『ゲルニカ』でした。

私は現在、縁があってスペインに住んでいるのですが、この国の人たちが、平和や民主主義の象徴としてこの絵をとても大切にしていることをそれとなく感じていました。そこで「是非この目で見てみたい」という強い思いで、ソフィア王妃芸術センターにやって来たのでした。

ゲルニカは、横に長く伸びた大きな絵画。そもそもはパリ万博(1937年開催)のスペイン館の壁面に飾られました。

その後、長らくアメリカのニューヨーク近代美術館にて保管され、スペインに返還されたのは、フランシスコ・フランコの独裁時代が終焉し、フアン・カルロス1世による王政復古(立憲君主制による議会制民主主義)が施行された後の、1981年になってからでした。

当初はプラド美術館に展示されていました。そして、1992年のソフィア王妃芸術センター開館に伴い、同美術館に移設され現在に至っています。

特筆すべきは、スペインに返還されて以来、一度も国外へ持ち出されていないことでしょう。世界中では、頻繁にピカソ作品の展覧会が開催されており、これまでに貸与要請が幾度かあったそうですが、スペインは、その全てのオファーを断っています。今後もゲルニカは、「門外不出」である可能性が大でしょう。


ポスター製品です

念願の対面がかなった『ゲルニカ』は、絵の前に立つとその世界観に圧倒されました。比喩でもなんでもなく本当に鳥肌が立ちましたよ。

これがゲルニカ!魂を揺さぶられるとはこのことで、まさに本物の芸術に接した気がしました。

実際、この絵の前にできていた人だかりは少し騒然としていました。美術館内の静寂な展示場の絵の前で、多数の大人たちが騒然としている光景って、そうそうありませんよね。

今、この時代だからこそ見ておきたい絵画の一つだと感じました。

アクセス、入館等について

項目 概要
最寄駅

地下鉄1号線アトーチャ駅

開館時間

平日10:00~21:00(火曜日は休館)
日曜10:00~19:00

入場料

大人8ユーロ(平日19時以降と日曜の14:15以降は入場無料)

写真撮影

場所によっては可能(たとえばゲルニカは不可)

周辺環境

ミュージアム関連は、徒歩圏内にプラド美術館、ティッセン・ボルネミッサ美術館などがあります。

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By Ansun (Updated by Asatsuki)

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