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コルドバのメスキータ(二つの宗教が同居する不思議な空間)

スペイン・アンダルシア地方第3の都市コルドバには、キリスト教とイスラム教という異なった二つの宗教が同居する不思議な建築物、メスキータがあります。

なぜこのような折衷建物ができたのでしょうか。それにはスペインの歴史に深く関係しているのです。

コルドバの歴史とメスキータ

スペインのアンダルシア地方を流れるグアダルキビール川の岸辺に広がる街、コルドバ。

その佇まいは、同国の著名な詩人、ガルシア・ロルカ(1898年~1936年)によって称賛される等、深い趣があります。

当地は、スペインがまだローマ帝国の領土だった時から重要な街とされていたため、未だに街のあちこちにローマ時代の橋や建物が残っています。

そんなコルドバで一番目を引くのが、聖マリア大聖堂、通称メスキータです。

メスキータやその周りのユダヤ人街を含むコルドバ歴史地区は、1984年に世界遺産に登録されています。

メスキータ界隈

二つの宗教が同居する不思議さ

聖マリア大聖堂は、その名の通りカトリック教会の大聖堂です。にもかかわらず、なんで通称が、イスラム教のモスクを意味するメスキータなんだと不思議に思う方も多いのではないでしょうか?

実はこのメスキータは、イスラム教のモスクの中にカトリックの礼拝堂が作られた、世界で唯一とされる、二つの宗教が混じり合った宗教施設なんです。

なぜこのような「同居・折衷建物」が生まれたのか、それにはコルドバの今までの歴史と深い関係があります。

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イスラム・アラブ系の支配時代に建設されました

スペインは8世紀からイスラム教徒に支配されていたのですが、そのアラブ時代の最盛期に首都だったのが、コルドバです。

そして当時の王が780年代から大モスクの建設をはじめ、それがメスキータになりました。

最盛期では2万人以上を収容できたというメスキータは、コルドバのイスラム王朝の繁栄のシンボルになっていたのではないでしょうか。

キリスト系(スペイン)がコルドバを奪回

1236年、コルドバはキリスト教徒にレコンキスタ運動の一環によって奪回されました。

そして、スペイン王カルロス5世(神聖ローマ皇帝カール5世/スペイン王カルロス1世。諸般の事情で色々な立場を兼任していた人だったようですね)が、キリスト教聖職者たちの懇願を聞き入れる形で、モスクの内部にカトリックの大聖堂が造られることになりました。

このことが、ひとつのモスクに二つの宗教が同居・混在する発端・要因となったのです。

ミフラーブ

モスクの礼拝堂に設置されている窪み。ミフラーブ。

メスキータの内部は摩訶不思議

初めてメスキータに行った時、てっきりメスキータが正式名称だと思い込んでいたわたしは、置いてあったパンフレット(日本語版)に記載されていた名称が、聖マリア大聖堂となっていたので、一瞬頭の中にはてなマークが浮かびました。

建物、鐘楼、オレンジの木の中庭などなど、外から見たらモスクにしか見えないのですが、今はキリスト教の大聖堂なんですよね。

ちなみに私は、スペインのイスラム建築でよく見ることが出来るオレンジの木の中庭が大好きです。 規則正しく並んだオレンジの木の濃い緑色の葉っぱと、オレンジの実のコントラストがなんともかわいらしいんですよね。

円柱の森を彷徨っていると、いきなり大聖堂が出現

メスキータの中に足を踏み入れると、そこは赤と白のアーチをもつ円柱が無数に連なるまさに「柱の森」。その空間に漂う神聖な空気に自然と静粛な気持ちになりました。

柱その1

仏教徒の私でも、そこが建設から1200年以上にわたって信仰の中心だったことを肌で感じ取ることができました。

しばらく無数に連なる柱の間をじっくりと散策していた私は、急に目の前が開けて驚かされることになりました。

円柱が立ち並ぶモスクの一部に、突如カトリックの大聖堂が現れたんです。これは摩訶不思議。

異質さや居心地の悪さが魅力に

大聖堂(カテドラル)は、色んな様式が混じり合っていて、とても美しいものなのです。が、モスクとして考えた場合、明らかに異質で、無理やりそこに押し込まれたような、間借りしているような、何とも居心地悪そうな印象を受けました。

大聖堂
大聖堂2

16世紀、メスキータの改修に同意したカルロス5世も、実際に改修されたメスキータを見て、宗教の違いという理由だけで破壊してはいけなかった最高の芸術を壊してしまったことを嘆いたと言われています。

従来よりのイスラム・アラブ様式のまま、残しておいたほうが良かったと後悔したのでしょうか。

でも、その異質さやある種の居心地の悪さが、現在の建物の魅力を生み出しているのだと思います。

850本の柱について

現在のメスキータの内部は薄暗いのですが、かつてモスクとして使われていた時はもっと入り口が多く、光が溢れていたとのこと。柱の間に光が差し込む様子は本当にキレイだったんだろうなと思いました。

メスキータの中にある850本の柱は、一見全部同じように見えるのですが、建てられたときの財政状況によって微妙に使われている大理石の種類が違うんですよ。

注意深く見ていると、結構はっきりと違いが判るので面白かったです。

柱その2

コルドバの朝ごはんGOOD

スペインの朝食は、カフェオレと好きなものを塗ったり挟んだりしたパン、といったシンプルなものが主流。アンダルシア地方では値段的にお得感があります。

コルドバのカフェで朝、パンにトマトペーストと生ハムを載せた、定番的メニューを注文したのですが、運ばれて来たパンを見て少し驚きました。

スペインの他の場所で生ハムをのせたパンを頼むと、ちょこっとスライスされた生ハムが乗ってくるのですが、コルドバでは細かく刻んだ生ハムがどっさりと載せられていたのです。

味も本当に良くて、朝から得をしたような気になりました。そして(私が単純なのかもしれませんが)コルドバへの好感度がど~んとアップしました。

あさつき

旅行では、現地の食べ物と自分の味覚との「相性の良し悪し」は大切ですよね。

アンさん

ホントそう思います。

世界遺産メスキータへの行き方

コルドバのバスターミナルと鉄道駅とは隣同士なのですが、そこからメスキータまでは徒歩で20分くらいです。

ビクトリア庭園を下っていくと、ユダヤ人街にさしかかりそこからはメスキータの鐘楼も見えるので、迷う心配はあまりないですよ。

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By Ansun (Updated by Asatsuki)

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