
キルケニー(お城と大聖堂と優しいおじさん)
キルケニーは、他のアイルランドの都市とは異なる雰囲気の街並みが素敵な小さな町。ダブリンからの日帰りバス旅行にぴったりです。私は、中世よりの形を留めている重厚なキルケニー城や、聖カニス教会を観光しました。現地では優しいおじさんに出会いました。
キルケニーは、おとぎ話に出てくるような街並みでした
キルケニー(Kilkenny) は、ダブリンの南西部にあるキルケニー州の州都。アイルランドでは珍しい内陸部にある都市で、ノール川(ノア川)のほとりに広がっています。
州都というと大きな街をイメージするかもしれませんが、人口2万人程度の小さな町なんです。半日もあれば十分散策できてしまいます。
街自体は小さいものの、中世の建物が数多く残っています。街の近くで採れる黒灰色の石灰石で建てられた建物が印象的な美しい街でした。

私たち日本人が想像しがちな「ヨーロッパ中世」のイメージを見事に具現化しているような、「むかしの童話」に出てくる街のような感じがしました。
代表的な建築物、観光名所は、キルケニー城、そして、聖カニス大聖堂です。
ちなみにキルケニーというまちの名前は、アイルランド語で“聖カニスの教会”という意味なのだそうです。
ノルマン様式の街並みです
街を歩いていてみると、ケルト文化の面影が色濃いアイルランドの他の街と何かが違うなと感じました。
それもそのはずで、この地は、北方系のゲルマン民族(いわゆるバイキングとかもそうです)であるノルマン人に長く支配されていたことから、古い建物の多くが「ノルマン様式」でできています。
イギリス(グレートブリテン)から持ち込まれたジョージアン様式やビクトリアン様式の建物が普及している他のアイルランドの「古い街並み」とは、たたずまいが少し異なります。

日帰り観光にぴったりです
アイルランドへ旅行する場合、ダブリンを拠点にして色々な観光を楽しむプランが定番だと思うのですが、キルケニーは、距離と街の規模の両面において「お手頃」です。
日帰りで観光や散策を楽しむのにぴったりなんですよ。
行き方、交通手段はバスが一般的。
ダブリンから片道2時間くらい。料金は往復で20ユーロ程度です。
ただ、キルケニーに立ち寄るのは、ダブリンからコークという都市へに向かうバスで、キルケニーが終点ではありません。その点はちょっと注意を要します。
アイルランドのバスは、車内で停車駅の表示もアナウンスもないので、道路の標識を確認していなければ、今自分がどこにいるのかが全く分からなくなります。
私は、ちゃんとキルケニーで降りられるか自信がなかったので、前もっても運転手さんに着いたら教えてくれるように、頼んでおきました。
フレンドリーな運転手さんは快く了解して、「着いたよ!」って、教えてくれましたよ。
キルケニー城
キルケニー城は、ヨーロッパで私が初めて入ったお城なんです。なので、とても思い出深いです。

私はそれまで、西欧のお城は、絵本か映画の中でしか見たことがありませんでした。ですので、子どもの頃に絵本で見て憧れを抱いていた「西欧のお城」を実際に目の前にした時、かなりテンションが上がってしまいました。
アイルランドのお城の中で、最も完全な形で残っているというキルケニー城。それまで修道院だった場所を、14世紀にバトラー家が住居に改装したものです。
しっかりとした石造りの、とても均整のとれた外観をしている建築物です。重厚感がありました。


大興奮!の内部ツアーでした
お城の内部は、ツアーでしか見学出来ないという事だったので、着いてからすぐにツアーの申し込みをしました。
ツアーの集合場所に行くと、シーズンオフ(真冬の2月頃)だったのにもかかわらず、結構たくさん人がいてやっぱり人気なんだと妙に納得してしまいました。
ガイドさんの説明は、当然ですが英語でした。日本の旅行社のツアーに参加したのではなく、個人旅行でしたので。
その説明については、理解できたりできなかったり、といった感じだったのですが、私は初めて見る「西欧のお城の中」に興奮しっぱなしでした。
少人数で話をするために小さく作られた会議室や、壁や天井にびっしり装飾が施された大きい会議室は、見惚れてしまうほど豪華でしたよ。またそれとは対照的に、中世の時代のまま残っているという石壁と太い梁がむき出しになている部屋もあり、このお城の長い歴史を感じました。
この時のキルケニー城見学で一番印象に残っているのは、赤い壁に歴代の領主の肖像画がかけられている、ロング・ギャラリー。その名の通り長細い形をした部屋なのですが、「これぞお城の中の部屋」といった感じで、ヨーロッパ的な豪華絢爛さに圧倒されたのでした。
聖カニス大聖堂
キルケニー城の見学を終えた後、まだ帰りのバスの発車時刻まで余裕があったので、街の中の他のスポットを見学しようと、観光案内所に地図をもらいに行きました。案内所の係の人に地図を頼むと快くもらえました。
そして、せっかくだから、お城と並んで人気の高い聖カニス大聖堂くらいは見ておきたいと思ったのですが、係の人から、「早く行かないと閉まっちゃうわよ」と言われて、「え~っ」と驚きました。
私は、大聖堂へと続く坂道を一気に駆け上がりました。

観光施設の閉館時間を事前にチェックしていなかった私の痛恨のミス!です。

アンさんは、うっかり屋さんなのかな?割とアバウトなところがありますよね(笑)
「教会のおじさん」に感謝!です
聖カニス大聖堂の入り口に着いた時には、もう「教会の人(おじさん)」が、入口を閉めかけていました。
ああ、間に合わなかったと、がっかり落胆。
でも、なんとそのおじさんが、「ちょっとだけならだけ中を見てもいいよ」と言ってくれたのでした。

驚きと嬉しさが混ざり合って変にドキドキしながら、お言葉に甘えて少しだけ中を見させてもらいました。
朴訥とした外観とは対照的に、聖堂の内部は柔らかな雰囲気に包まれていました。
ステンドグラスから差し込む夕日に照らされて、とても神秘的できれいでした。

ナイス!な教会のおじさん。
「この女性は、おそらく遠いアジアから、はるばるアイルランドのこんな小さな町までやって来たんだろう」
「この機会を逃すと彼女は二度とこの大聖堂を見れないかもしれないな」
・・・と考え配慮してくれたのでしょうね。嬉しかったなあ。

とても素敵な心遣いをしてもらいました。
外国ではどんなに観光を楽しんでいても、心のどこかに自分の家から遠く離れた心細さみたいなものがある私なのですが、こんな優しさに触れると、すっと心の中が温かくなって少しの寂しさなんか吹き飛んでしまいます。
今でもキルケニーの日帰り旅行の事を思い出すと、あの「教会のおじさん」の、優しそうな笑顔が浮かんできます。
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By Ansun (Updated by Asatsuki)