
ノートルダム大聖堂とシテ島
ノートルダム大聖堂は、パリの街を流れるセーヌ川の中州「シテ島」に所在し、ゴシック建築の最高傑作と謳われるその均整の取れた佇まいはまさに美麗。世界遺産にも登録されています。
私が観光でノートルダム大聖堂を訪れた際は、長蛇の列で賑わっていました。
ノートルダム大聖堂の「ざっくりとした」概要
「ノートルダム大聖堂」という呼び名がある寺院・大聖堂を、パリ以外でも見聞した事がある方は、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
ノートルダム(Notre-Dame)は、もちろんフランス語なのですが、直訳すると「私たちの淑女・貴婦人」という意味になります。
- Nortre=私たちの
- Dame=淑女・貴婦人
そして、「私たちの淑女・貴婦人」とは、一般的には、聖母マリアのことを表すのだそうです。なるほど、キリスト教で最も重要な崇高な女性と言えば「マリア様」になりますよね。
フランス語圏で、聖母マリアのためにつくられた大聖堂や教会は、おそらく全て、ノートルダムの名称が付けられています。でも、私たち日本人の場合は、ノートルダム大聖堂と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはりパリの大聖堂ですよね。

この大聖堂が建つ場所は、古代ローマ時代から神聖な場所であるとされていました。後にキリスト教徒がバシリカ式教会を建て、その後、今の大聖堂が建てられることになった経緯があります。
1163年から約200年もかけて建設され、800年以上もパリの街を眺めてきた大聖堂ですが、長いパリの歴史の中では受難の時期もありました。1789年のフランス革命時に、市民の間でカトリック教会に対する批判が高まり、聖堂内の王の彫刻が破壊されるなどしたのです。そのためかファサード(表玄関、正面入口)の彫刻や塔の一部は、19世紀に入ってから修復されています。
1804年には、あの皇帝ナポレオンの戴冠式が執り行われたりと、パリの歴史の中で重要な役割を担ってきました。また様々な物語の題材・舞台となっており、たとえばヴィクトル・ユゴーが1831年に発表した有名な小説、「ノートルダムのせむし男」(Notre-Dame de Pari)は、この大聖堂が舞台です。
ノートルダム大聖堂を観光
2020年2月現在、大聖堂内の観光は出来なくなっています。
(2019年発生の火災被害に対する修復工事のため)

私がシテ島へ渡ってノートルダムを観光した際の事について、少々ご紹介しましょう。
およそ地下20m地点にある地下鉄(メトロ)のシテ駅から地上に上がった私。
小さな島の中にある大きな大聖堂だからすぐ見つかるだろうと、高をくくっていたのですが、なんと見事に迷いました。駅は島の中央部あたりにあって、島南端部にあるノートルダム大聖堂までは、たった数百メートルほどの距離なのに、たどり着くまでに、随分とウロウロ歩き回ってしまったのでした。
さて。
ノートルダム大聖堂(Cathedrale Notre-Dame de Paris )は、「パリのセーヌ河岸」として、1991年に世界遺産にも登録されています。
ファサードの双塔に大きなバラ窓、大聖堂を横から支えるアーチ状のつっかえ棒フライング・バットレスなどなど、「ザ・ゴシック建築」という外観は、とても均整が取れていて完成された美しさといった趣きがしました。



初期~中世ゴシック建築の最高傑作と称されるだけあて、どの角度から見てもとことん美しいというのがこの大聖堂の最大の特徴だと思います。特に横から見た姿には見惚れてしまいました。美麗でございました。

熱烈なパリ信者でもゴシック建築ファンでもないのですが、「脱帽だな」と。

聖堂内の教会独特の荘厳さと煌びやかさは言うに及びません。訪れた者が畏敬の念を抱き、あるいは神の示唆を感じ取り、ひと時でも清らかな気持ちになるのなら、それは優れた建築物であると言えるかと思います。
それにしても、なんでパリにあるものは、古い歴史的建造物でさえ、当たり前のようにセンスが良く洒落ているのでしょうね。
長蛇の列、ところてん式見学
私がパリへ旅したのは数年前の6月頃。丁度観光シーズンに入ったばかりの頃ということもあり、大聖堂に入るためには思いのほかかなりの時間、並ばないといけませんでした。
最初、大聖堂に続く長蛇の列を目にした時、これは塔に登る人たちの列で、聖堂内にはすっと入れるんだろうと思ったのですが、見事に期待を裏切られる形になってしまいました。
しかも、やっと入れたと思ったら、聖堂内の壁際をぐるりと一周するようにロープで見学する順路が作られていて、人ごみに流されるように順路をたどると、押し出されるように、そのまますぐに外に出ないといけなくなっていたんです。
好きなだけ自由に建物内を見て回れるものと思い込んでいた私は、このオートマチックな「ところてん式見学」に、かなりのショックを受けたのでした。
でも今になって考えると、観光シーズンに出来るだけ沢山の人が効率よく見学するには、ああいった形になるのも仕方がないのかな、とも思います。
結果的には、駆け足で見学したような形になってしまったのですが、聖堂内で最も気になった造作はと言うと、それは建物内の左右に配されていたバラ窓でした。すっきりとしたデザインが映えるバラ窓の存在感は凄まじく、しばらくそこから目が離せませんでした。

塔に登るのはパスしました
塔の上からは、パリの街が一望出来ます。そのパノラマ・ビューを体験してみたかったのですが、それまでノートルダム大聖堂にたどり着くまでに歩き回っていた私には、387段もの螺旋階段を登り切る体力が残っているかどうか、あまり自信がありませんでした。

そんなに疲れるほど、さまよっていたのですか?こんなに狭いエリアなのに。

いやぁ。初めての場所って結構分からないものですよ。ましてや外国なのですから。似たような建物や通りが続いていたりしてね。とは言え、確かにウロウロしすぎました。
それに加えて、混雑が解消されるどころか、どんどん伸び続けている観光者の長い行列を目の当たりにして、モチベーションは急降下。それで塔に登るのはパスすることにしました。
でも塔の屋上から見るパリの景色は素敵だったんだろうな。少し心残りだったりもします。

徒歩やメトロでの行き方
ノートルダム大聖堂を訪れるためには、シテ島へ渡る事となります。
行き方としましては、徒歩の場合、橋を渡る事となります。
またメトロ(地下鉄)ならば、島内の最寄り駅で下車後、徒歩数分が目安です。
項目 | 概要 |
---|---|
メトロ |
パリ地下鉄4号線シテ駅で下車。 シテ通りに出て徒歩5~10分程度です。 |
橋 |
徒歩でセーヌ川を渡る場合は橋を利用します。アルコル橋、ノートル・ダム橋、オーシャンジュ橋の他、複数架かっています。 なかでも最古とされるポンヌフ橋が有名。但し、ノートルダムから一番離れています。 |
入場料 |
聖堂内へは無料で入れます。 以下については有料です。 |
パリの起源・心臓部、シテ島
ノートルダム大聖堂が所在するシテ島(cite)についても、少し触れておきましょう。
フランスのパリは内陸部にある都市です。「なのに何で島があるの」と不思議に感じた方もいるのではないでしょうか?海に面していない都市に島がある謎。それは、パリの街の中を蛇行しながらゆったりと流れるセーヌ川にあります。

シテ島は、セーヌ川にある中州なんです。
セーヌ川の中州、シテ島は、パリの歴史の中でとても重要な場所だとされています。
紀元前3世紀には、すでに人が住んでいたとされており、そしてその後、この島を中心にパリの街が発展していったという、まさにパリの起源・心臓部分と言える場所なのです。
街並みはきちんと整備されており、島~川の中州~にいるような感覚は全くありませんよ。
中州(島)ではあるものの、計9本の橋で街と繋がっていて、隣にあるサン・ルイ島にも橋を渡っていく事が出来ます。また島内には、地下鉄4号線のシテ駅があるので、鉄道に乗ってノートルダムへ行くのなら、この駅を利用すると便利です。
島内の見どころ、歴史的建築物
ノートルダム大聖堂の他にも、シテ島には色々と見どころがありまして、「パリ警視庁の本部」や、裁判所等の幾つかの司法機関が入った広大な建物群「パリ司法宮(パレ・ド・ジュスティス)」などが、島内に所在しています。
パレ・ド・ジュスティス区域内に所在する世界遺産「サント・シャペル」や「コンシェルジュリー」は、歴史的にも価値が高い貴重な中世・ゴシック建築です。シテを訪れる旅行者の大半は、ノートルダムと合わせてこれらの建物の観光を楽しみます。

(左)サント・シャペル /(右)コンシェルジュリー
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By Ansun (Updated by Asatsuki)